うれしの東保育園

小屋型の「ハウス」とフラットルーフの「ルーム」からなる未満児保育棟。壁や建具、家具の高さを低くし、大人の視線が通りやすくこどもたちの目線と日常行動をコントロールできる空間を実現した。

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物件名 うれしの東保育園

所在地 岐阜県羽島郡岐南町
竣工 2014/03
敷地面積 2898.05m2
建築面積 336.10m2
延床面積 269.60m2
構造規模 木造一部RC造
構造設計:なわけんジム
施工: 内藤建設株式会社
掲載誌:新建築2014年6月号

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うれしの東保育園は岐阜市南部に隣接する岐南町の公立保育園が民間委譲されたもので、それに伴う増築工事が今回の3才未満児保育室棟となる。徒歩圏内には同法人が運営するもう一つの保育園と特別養護老人ホームがあって園児やお年寄りがここを訪れることはもちろん、クライアントの「子供の育ちとともに保護者の子育てをも支える」という考えのもと、保護者たちも園内部(コミュニティースペース)へと日常的に導かれる。

ハウスとルーム
既存園舎北側の限られた敷地に、十分な採光と安全な外部環境をもつ保育室を子供スケールで実現するため保育室を「ハウス」と「ルーム」に分節した。さらに「ハウス」と「ルーム」に適度な囲みを設けた「ガーデン」と、年齢にあわせた「水廻り」を接続して、全体を「保育ユニット」と位置づけた。小屋型のハウス内部では採光を抑える一方、ルームはハウス屋根面を介したトップライトからの反射光があふれる屋外的な場所とし、子供たちの多様な過ごし方を誘発できるよう空間に変化を与えた。

子供の「目線」、大人の「視線」
ハウスの壁面はFL+1250mmまでたちあがってから傾斜して建物全体の水平力を負担する閉じた小屋型をつくる。この室内に現れた屋根面と、高さを1250mmにおさえた内部建具(引戸)により、大人の視線が通り3つの保育ユニットとエントランス間を一度に見通す事を可能にした。この低く小さな建具は軽く安全に動き、子供たちの目線と日常行動をコントロールする。

カンガルーのおうち
3つの「保育ユニット」に囲まれた中央のコミュニティースペースからは全ての「ハウス」の内部をちょうどベビーサークルを覗き込むようにしてうかがうことができる。カンガルーのおなかに入った子供をみるような、そんな想いからクライアントによってこの増築棟のネーミングが行なわれた